ニューヨーク近代美術館(MoMA)を題材にした短編集。初めて読む原田マハ作品でした。
私が読んだ電子版の表紙はアンリ・マティスの『ダンス』であった(2018年4月20日発行, 文藝春秋)。
内容
簡単に内容を書きます。
「中断された展示会の記憶」
MoMAから福島の美術館に貸し出されていた、アンドリュー・ワイエス作『クリスティーナの世界』を主人公が受け取りにいく話。展覧会中に、2011年3月11日の東日本大震災が起こったため、MoMAは放射線の影響を気にして『クリスティーナの世界』を回収しようとする。
主人公 杏子はアメリカ国籍を持つMoMAの展覧会ディレクターで、バイリンガルであるため日本へ向かうことになった。
「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」
MoMAの監視員を主人公とする話。主人公は、怪しい青年がピカソの作品の前でずっと止まっているため注意を払う。その彼はMoMAの初代館長と同名のアルフレッド・バーと名乗る。ある日、ギャラリーに黒い足跡が残っており、それは未確認アーティスト「バー」の作品とされる。その黒い足跡はピカソの作品の前で長いこと止まっていた。
ピカソとアルフレッド・バー:原田マハ「いまこそ『ゲルニカ』の話をしよう」|ポーラ美術館での「永遠の10分間」公開
言及されたいくつかの作品・画家:『タヒチの女』ゴーギャン、『星月夜』ゴッホ、『アヴィニョンの娘たち』ピカソ、『眠れるジプシー女』アンリ・ルソー、ジャクソン・ポロック、フェリックス・ゴンザレス=トレス。
「私の好きなマシン」
工業デザイナーであるジュリアは幼い頃に、MoMAの『マシン・アート』展で、ボール・ベアリング作品を気に入っていた。また、そこで出会った館長のアルフレッド・バーの言葉に感銘を受けた。アルフレッドが館長を辞め、死去したと聞き、ジュリアは過去を振り返る。
デザインからアートへ。
「新しい出口」
主人公ローラはピカソ専門、友のセシルはマティス専門であった。しかし、9.11のテロでセシルが亡くなり、ローラはPTSDになってしまう。ローラは、2人で関わってきた「ピカソ マティス」企画に、MoMAを退職した後に足を運ぶ。
「あえてよかった」
MoMAで1年間研修している森川麻美の話。パートタイムジョブの同僚パティとの話。綺麗な最後でこの小説『モダン』を終えることができる。
参考:例の紙コップについて
感想
ニューヨーク近代美術館に行ったことがあればもっと情景を浮かべることができたかもしれない。あるいはニューヨークで読むとか。
わからない作品とかは調べながら読んでいったのでイメージしやすかった。次は長編を読んでいきます。
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